関西広域経済圏の発展を願って(大阪ダブル選挙、橋下陣営の勝利に望むこと)

既存の全政党に反対されながら、維新の会を率いる橋下氏の陣営が完全勝利したようです。
 ⇒/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com
 ⇒http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20111128ddm003010138000c.html

 既存政党の思惑(各政党を支援する各種圧力団体の思惑も含めて)とは全く異なる選択を、大阪府全体で選択した事と等しいと考えています。(=現時点の大阪府既存政党が、住民の大多数の意思を代弁していないと言う事実を鑑みて、各政党は真摯に反省すべきでしょう)

 いつの日にか、大阪・堺合同経済圏が、神戸経済圏と合体・成長し、関西広域経済圏へと成長する事で、関西広域の経済復興へ繋がる事を望んでいます。

 大阪市堺市の統合による大阪都構想の実現で得られるだろう経済発展の可能性は、関西広域経済圏としての観点からは非常に歓迎すべき事態であり、既得権益の確保に汲々とする大阪府内各党支部に対して、国家全体をの経済発展の観点から俯瞰して、各党本部から適切な指導ができない現状は、例え民主党以外の政権へ移行しても、手厚い保護政策を縮小して財政健全化をすすめる事ができても、日本全体の経済発展を見据えた国家運営が、今以上に上手く機能するとは到底信じられません。

 愚か極まりない派閥争いの愚を捨て、「労働組合なども含めた圧力団体の功罪(推敲中) - 気ままな戯言」の記事にも記載した通り、各種圧力団体の間で揺れ動く現状から脱して、国家戦略感を持たなければ、何れの政党も国民の信頼を得る事が不可能です。

 各種圧力団体の間で方針がコロコロ揺れ動く各政党に対して、多くの国民が各政党へ抱く不信は各政党の支持率へ反映され、自民・民主の二大政党でさえ12%前後なのに、支持政党なしの浮動層が約66%と言う事実こそが示していると思います。

 そう言った意味においては、今回の大阪ダブル選挙結果は、不満を抱く浮動層に加えて、本来は民主・自民の支持層さえ巻き込んで、橋下氏の勝利を招く結果となったのは、ある意味「理の当然」と申し上げても差し支えないと考えています。

 各種圧力団体と無縁な、年間世帯収入階層別の世帯数分布状況に不満を抱く、低収入の一般市民・府民は尚更、各種の圧力団体とつるんでいます的にしか見えない、各政党の相乗り候補には猛反発するでしょうし・・・

 第二次大戦前後の新聞・ラジオしか無かった頃とは異なり、インターネットが発達した現在では、偏向報道捏造報道・事実の隠蔽など行ったり、各種圧力団体への迎合などを主張するほど、保守/左翼を問わず各陣営・政党の支持率を下げることにしか繋がりません。

 いい加減、各政党におかれては、第二次大戦前後の宣伝工作と近視眼的局地戦術から脱して、多くの企業同様に「「Wikipedia:ディスクロージャー]」を進め、固定票欲しさの圧力団体への迎合・擦り寄りを止め、国家全体を俯瞰した戦略・戦術を展開し、立党時の初心に立ち帰って国民の信を得なければなりません。


■関西広域経済圏の課題

 大規模経済の首都圏とは異なり、より経済規模の小さな関西圏は、種々の問題を抱えています

 現時点の交通インフラ整備状況と、京都・奈良の歴史的・文化的価値を踏まえると、都市型経済的な観点における経済的な発展を、神戸経済圏を抱える兵庫県を除いて、周辺の京都・滋賀、及び奈良・和歌山で、同様に実施する事は困難でしょう。

■大阪経済圏に対する、ベッドタウンとしての位置付け

 兵庫県については、神戸市近郊までは阪急・阪神線が乗り入れており通勤手段が冗長化されていますが、西は加古川市付近(JR山陽本線神戸線経由)、北は三田市福知山線経由)が通勤限界のように思います。
 しかし、神戸経済圏を更に発展させれば大阪経済圏への通勤は不要となりますので、神戸経済圏を大阪経済圏と如何に連携・発展させるか?によって状況は変化すると思いますので、大阪経済圏へのベッドタウン需要だけに頼る必要性は少なくなっています。

 京都府ベッドタウン化について、京都市部の各区は、市営地下鉄とJR・阪急・京阪各線の乗り入れにより交通手段が冗長化されており、京都市の通勤可能地域はかなり広がっています。
 京都市山科区は市営地下鉄とJR線又は京阪線京都市左京区伏見区京阪線経由が便利)、八幡市久御山町京阪線経由)、京都市以西の向日市長岡京市(阪急・JR経由)、南部地域は宇治市奈良線京阪線近鉄線経由)城陽市井手町近辺(JR奈良線経由)と京田辺市木津川市(JR関西本線経由)、北部地域は亀岡市近辺(山陰本線経由)で、福知山市綾部市は2時間以上必要となって大阪経済圏と切り離され、京都市以外への通勤が困難となりますが、JR以外の私鉄各線乗り入れ効果により、大阪府を除いて他県より大阪経済圏への通勤が恵まれた状況と言えます。

 奈良県に関しては、奈良市のJR各線と近鉄各線、南部の桜井市・以西(JR桜井線・片町線経由)、東部地域は宇陀市以西(近鉄大阪線)、南部地域は御所市(JR和歌山線又は近鉄御所線と、近鉄大阪線又は南大阪線経由)、少し無理して明日香村(近鉄南大阪線吉野線経由)と言った風に、京都府についで交通インフラは整備されています。

 滋賀県ベッドタウン化は、京都に近い草津市程度(湖西線方面は大津市堅田駅付近)までの距離が、現在の交通インフラではほぼ限界(通勤が約1時間)に近いように思いますが、後述の通り滋賀県は恵まれた環境なので、びわ湖経済圏の発展如何では、ベッドタウン需要だけに頼る必要性は減少すると考えられます。

■京都・奈良に於ける都市型経済圏の可能性

 中世の首都:京都と古都:奈良(滋賀の文化財・歴史も含めて)は、歴史的・文化的価値が非常に高いため、都市型経済開発とは異なるアプローチが必要となって、今後の検討が必要だと思っています。

 ですが、首都圏近郊の観光地が賑わっている事実や、首都圏近郊がベッドタウン化して住民数が増加している事実を踏まえて、現在の大阪・神戸経済圏の発展と周辺住民数の増加により、正しい意味での経済的な乗数効果も見込まれると考えています。

滋賀県に於ける都市型経済圏の可能性

 滋賀県については、著名な南海地震などの大地震震源地としての危惧も少なく、滋賀県による誘致や各種優遇策も加えて、各企業の進出が和歌山県などと比較して順調な事、タキイ種苗などが行う農業改良・活性化の試験地として選ばれるなど、大阪経済圏への依存だけでなく、滋賀県独自の発展要素を残しているところが期待が持てますし、何よりかんさいで唯一人口が増加している面でも、非常に希望が持てる県だと考えています。

兵庫県に於ける都市型経済圏の可能性

 兵庫県に関しては、神戸という一大経済圏を抱えつつも、兵庫県の大規模面積と比較して経済規模と交通インフラの問題で、県内の他市町村全てを含む大規模な経済圏までに至っていない事から、大阪経済圏の発展に合わせた緊密な経済連携が喫緊の課題ではないでしょうか?
 特に、瀬戸内海〜日本海へ至る大規模な県域は、中央を大規模な山脈で分断され、日本海側の劇的な経済発展には至っていません。

■関西圏の日本海側に於ける都市型経済圏の可能性

 兵庫県だけでなく、関西地区の日本海側の発展は、滋賀・京都・兵庫の三県共通課題でもあり、交通インフラの発展を座して待てば、後述の和歌山県同様に経済縮小局面のまま推移するのは確定的な事実だと思います。
 人口密集地でもなく、広大な土地に少ない人口、人口に応じた小規模な経済、世帯年収別階級では467万円以下の収入が少ない階層も多いことが予想され、生活必需品を除いて大都市同様の物価では購入者が激減する事も必然で、老人等の介護サービスを除けば、農林水産業と観光立地に頼らざるを得ないでしょう。

 上記傾向は日本海側で顕著ですが、日本海側で大規模海運を利用可能な京都・舞鶴港を除き、県外輸送及び輸出関連企業は運送コストが問題となるため、都市型経済開発地域として舞鶴港付近へ集中投資(=舞鶴都市圏の拡大・発展)を行うと共に、府県中央部の山脈横断による交通インフラ・コストを削減するために、関西圏の日本海側地域から舞鶴方面への交通インフラを集中整備すれば、ネット型産業の育成(農林・水産・物販を問わない)と併せて、日本海側経済圏の発展も期待できます。

 舞鶴経済圏の発展を適切に誘導すれば、かつて日本海側の海運を支えた福井県側の敦賀港・福井港を巻き込む形で、日本海側経済圏が拡大する可能性も出てきますし、利用者数の減少で整備が遅れている山陰本線ではなく、敦賀港から北陸本線経由で東海道線の大動脈へ連結できるメリットも見逃せないと考えます。
 舞鶴経済圏の発展に従って北近畿タンゴ鉄道が整備・強化され、京都府中丹地域の福知山市綾部市との連携が可能になれば、中国自動車道以北に広域経済圏が誕生する事になり、関西広域経済圏の発展には欠かせない構想とも言えるのではないでしょうか?

和歌山県に於ける都市型経済圏の可能性

 地理的・歴史的要因から名古屋経済圏に含まれる三重県を除き、現在の交通インフラ整備状況では、和歌山県の扱いが問題だと考えています。

 比較的大規模な港湾があっても南海地震の不安がある和歌山県では、大規模な企業誘致も難しいことに加えて、先日発生した台風被害の記憶も新しい南紀方面は、奈良県も含めて地元の企業立地も困難と言えます。
 交通が不便(大阪〜和歌山間の乗車時間だけで1時間、基本交通手段がバスの和歌山では、目的地移動を含めると更に30分〜1時間必要)故に各種の企業進出が少ない状況です。

 かつて住友金属企業城下町だった和歌山は、鉄鋼業界不振の影響も有ったのか、住金・鹿島への主要機能移転後は経済が失速し、和歌山市中心部が空洞化して、シャッター街とガレージの目立つ街と化しています。
 更に、南海地震の発生確度が上昇している現状では、新たに大企業の誘致や、データーセンターなどの施設誘致によるIT経済振興も困難・・・と四面楚歌とも言えます。

 せめて交通インフラの基盤技術が進化して、大阪〜和歌山間で1時間の電車を、京都〜大阪間や神戸〜大阪間と同様に30分以下で接続できれば、大阪経済圏へ通勤する地元和歌山住民によってベッドタウンとしての需要も高まり、人口増加の可能性も上がるとは思いますが・・・
 こちらに関しては、交通インフラの技術的な発展を待つ以外、1次産業と白浜などを中心とした観光に頼らざるを得ないかと思われます。
 
 さて、以上のように関西圏は問題点山積ですが、大阪経済圏の活性化を果たした後は、関西広域連合としての動きにも非常に期待しております。

 「先ずは、お手並み拝見」という事で、新たな橋下市政と大阪都構想に期待します。