低所得世帯が大阪都構想などに期待するもの:1

■思い立ったこと

 ここ数日、「イザ!BLOG」で、少し政治向きの話を書いてみたら、少しはアクセスを頂いたようなので、再掲して整理してみます。

 何度も引用して恐縮ですが「年間世帯所得金額階級別の(世帯数)相対度数分布」は、私のような貧乏人が行う主張の、根拠となる数値面でのベース資料となります。

 そして、私のような貧乏人の最大目的は、同様な年収帯の方が持つ一般的な遵法精神、及び倫理観を維持しつつ、前掲資料の中心値(467万円)を如何にして、より収入が高い方へランクアップさせるか、条件を達成する為に必要な試行錯誤を繰り返す、という事になります。
(つまり、(拘り条件)悪いコトせずに、世帯年収を上げる方法は何だろうか?、です)

■低所得世帯から見た「社会経済状況」

 「卵が先か鶏が先か」的な循環論法になりかねませんが、経済が停滞している事、仕事が少ない事、バブル時より収入が減った事、生活苦で子作りを諦める事、国民数の減少から税収が下がる事、調達予算不足で公共工事も発注額を値切る事、受注時の利益低下で給与が下がる事、同様に工事予算を節約して工事要員を削減する事、給与が減って家計の切り詰めで食料品や日用品の購買量が減る事、スーパーの売上減少改善策として商品を割高へシフトさせる事、物を買えないor安心して子作りや教育orレジャーうんぬんができない事に腹を立てた社員が賃上げ要求をする事、会社は給与原資獲得のために商品価格を上げる事・・・

 例を挙げれば、切もなく果てしもありませんが、様々な要求や経済事情・地域事情・政策・法律・お役所事情等々、種々の条件が負のスパイラルを描いて、インフレを招いていると思います。

 また、近年では会社側見地における薄利多売ではなく、前掲の資料などで示される世帯年間収入の実態を考慮した上で、購買可能層を低所得層まで拡大して売り上げを確保する販売形態(ニトリダイソー西松屋、大手より安価な地域スーパーなど)、なども増えてきているように感じています。

 前述の販売形態だけを見ると、デフレ局面へ突入したようにも感じられますが、低価格路線を採った会社等は仕入れ価格をより一層に抑制せざるを得ず、調達先を人件費の安い海外へ移す事が多くなる例が現実で、結果的に国内企業への発注が更に減って倒産が相次ぐ結果を招くため、失業者が増加すると共に、生活苦を原因とした窃盗などの犯罪増加で治安の乱れをも招き、ごく一部の高所得世帯を除く多くの世帯では、社会の乱れ・景気低迷などから絶望したり、犯罪に何もかも諦めて走ったり、世間から逃避して引き籠ったり、生活苦や未来への絶望などから自殺したり・・・と、低所得世帯を取り巻く状況が悪化して、結局は低所得世帯を中心にさらにインフレが進行し、何も良い事が無くなってきます。

■やっぱり主張したいことは①「低所得世帯は家計が苦しい」

 経済状況を活性化し、商取引を活発に行い、適正価格による適正利潤の徹底を図る事で、結果的に国民の収入が増して、社会全体の経済状況がより活発化する方向へ向かう事は、浅学菲才の身を顧みず書いている私などより、多くの識者の方や一部の政治家の方々などにおかれては、取りわけ良くお分かりであろうとは思いますし、私自身の実感する所でもあります。

 でも、分を弁えるだけでは低所得世帯の窮状を誰にも理解して頂けないので、浅学非才の身を顧みずにBLOGへ記事を投稿して、ひとりでも多くの方からご意見を伺おうと望んでいます。

 そう言った目的が常にベースにある上で、仙石氏の発言記事を切っ掛けとして「低所得世帯は消費増税に反対」する事を目的に、「http://cesera.iza.ne.jp/blog/entry/2526377/」を投稿しています。

 ここで総務省統計局が公開する、 「漁家の年間家計収支 - 全国(昭和58年〜平成11年)」と、「農家の年間家計収支 - 全国(昭和52年度〜平成6年度,平成7年〜15年)」、及び「1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出(勤労者世帯)- 全国,人口5万人以上の市(昭和38年〜平成22年)」を見比べれば、実態収入となる年間世帯収入を全く無視して、数字のマジックを使っている事は一目瞭然です。

 勤労家庭の「1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出(勤労者世帯)−全国,人口5万人」資料において、平成19年度における1ヶ月平均収入≒101万円(1,013,166)であり、前掲の年間世帯収入の平均月収≒37万円(世帯年収中央値448万円より算出)とは、実に60万円を軽く超える大きな収入の差が存在しています。

 また、国家の基盤、国の宝と持ち上げて、農業保護が必要だとして、民主党だけでなく自民党を含めた歴代政権が行った農家保護、そして農家に不利だという事で、公式には自民党が今も反対するTPP。

 そんな(歴代政権によって過剰に)保護された農家の平均年収は、平成15年度の時点で約771万円(7,712千円)、前掲の年間世帯収入資料に記された世帯全体の平均額(556万2千円)より、確実に200万円以上(世帯年収実態平均467万円と比較すると、何と300万円以上)農家の年間世帯収入が確実に多いのが実態です。

 この家計に関する資料だけでなく、同じく他の資料の公開ページをご覧になれば良く分かりますが、所得を年齢階級別で捉える(つまり、現状では公務員と大企業のみでしか実施されていない「年齢給」が前提)と言う、年間世帯収入階層別世帯数分布(収入階層別の世帯数分布状況)とかけ離れた年間世帯収入平均値を元に、各種の国策が策定されているのです。

 政治家の頭の中は、収入実態を無視した平均年収1,200万円、だからこそ、いとも簡単に増税を口にする。

 いとも簡単に増税を口にする前に、1ヶ月平均収入≒101万円の根拠となる、年間世帯平均年収(相対分布の中央値)≒1,200万円を実現後増税を口にすべきでしょう。

(12/2追記)
総務省統計局が公開する同様の資料として、「世帯の属性別1世帯当たり1か月間の支出」資料に記載された「年間収入十分位階級別」欄をご覧頂けば、わざわざエンゲル係数を持ち出すまでもなく、低所得世帯の収入に対して占める消費支出の割合が高いことは一目瞭然です。
 年間収入300万円世帯では「約20.9万円×12ヶ月≒約251万円(年収の約84%)」ですが、年間収入600万円世帯では「約28.6万円×12ヶ月≒約343万円(年収の約57%)」となり、低所得世帯の家計には余裕が殆ど無い事と比較して、中流層以上の世帯階層では家計に大幅な余裕が存在しています。

 と言った内容が中心で、地方で大手スーパーの売上減少が続く1要因とか、戦後史の発言に絡めて展開しています。

 また、低所得世帯における家計実態(如何に余裕が無いか)についても、同様に資料を引用して説明しています。

■低所得世帯には選択の余地もなく、やむを得ずデスマーチを歩まざるを得ない

 上記までに記載された、低所得世帯に対するしわ寄せ(収入減と出費増加)こそが、価格破壊戦略によって招かれた大規模な社会現象であり、「価格破壊」と言うイノベーションのジレンマであるとも言えるのでは無いでしょうか?

 低所得世帯は家計が苦しい故に、より安い商品を求めて購入しますが、低所得層を中心とした低価格化要求こそが、販売企業側のコスト削減の更なる強化を促し、販売企業内の人員整理や海外調達がより増えると共に、商品の調達時に相手側へ要求する値下げ要求が、回り回って低所得世帯の首を占めていると思います。

 正に、経済のデス・スパイラルであり、低所得世帯が選択の余地もなく歩まざるを得ない「哀しきデスマーチ」なのです。

 以下、「低所得世帯が大阪都構想などに望むもの:2」へ続きます。